MySQL インストールには多くのさまざまなプログラムがあります。このセクションでは、それらの概要を簡単に説明します。そのあとのセクションで、それぞれをより詳細に説明しますが、MySQL Cluster プログラムは例外です。各プログラムの説明では、呼び出し構文とサポートされるオプションを示します。セクション18.4「MySQL Cluster プログラム」では、MySQL Cluster に固有のプログラムについて説明します。
ほとんどの MySQL 配布には、これらのプログラムが (プラットフォーム固有のプログラムを除き) すべて含まれます。(たとえば、サーバー起動スクリプトは Windows では使用されません。)例外は、RPM 配布はより専門化されているということです。サーバー用に 1 つの RPM があり、クライアントプログラム用にもう 1 つ、などです。もし 1 つまたは複数のプログラムが欠けているようであれば、第2章「MySQL のインストールと更新」を参照して、配布のタイプとその内容を確認してください。配布がすべてのプログラムを含んではおらず、追加のパッケージをインストールする必要がある場合もあります。
各 MySQL プログラムは多くのさまざまなオプションを取ります。ほとんどのプログラムには--help
オプションがあり、プログラムのさまざまなオプションの説明を取得するために使用できます。たとえば、mysql --helpを試してみてください。
MySQL プログラムのデフォルトのオプション値は、コマンド行のオプションまたはオプションファイルを指定して、オーバーライドできます。プログラムの起動と、プログラムオプションの指定に関する一般的な情報については、セクション4.2「MySQL プログラムの使用」を参照してください。
MySQL ServermysqldはMySQLインストールのほとんどの作業を実行するメインプログラムです。サーバーには、サーバーの起動と停止を支援する、関係するいくつかのスクリプトが付随します。
SQL デーモン (すなわち MySQL Server)。クライアントは、サーバーに接続することでデータベースへアクセスするため、クライアントプログラムを使用するには、mysqldが稼働していなければなりません。セクション4.3.1「mysqld— MySQL サーバー」を参照してください。
サーバー起動スクリプト。mysqld_safeはmysqldを起動しようとします。セクション4.3.2「mysqld_safe— MySQL サーバー起動スクリプト」を参照してください。
サーバー起動スクリプト。このスクリプトは、特定の実行レベルのシステムサービスを起動するスクリプトを含む、System V スタイルの実行ディレクトリを使用するシステム上で使用されます。これは、MySQL サーバーを起動するために、mysqld_safeを呼び出します。セクション4.3.3「mysql.server— MySQL サーバー起動スクリプト」を参照してください。
システムにインストールされている複数のサーバーの起動または停止を実行できるサーバー起動スクリプト。セクション4.3.4「mysqld_multi— 複数の MySQL サーバーの管理」を参照してください。
いくつかのプログラムは、MySQL のインストール中またはアップグレード中に、セットアップ操作を実行します。
このプログラムは MySQL のビルド/インストールプロセス中に使用されます。これは、エラーソースファイルからエラーメッセージをコンパイルします。セクション4.4.1「comp_err— MySQL エラーメッセージファイルのコンパイル」を参照してください。
このプログラムは、MySQL データベースを作成し、付与テーブルをデフォルト権限で初期化し、
InnoDB
システムテーブルスペースをセットアップします。通常、MySQL をはじめてシステムにインストールするときに一度だけ実行されます。セクション4.4.3「mysql_install_db— MySQL データディレクトリの初期化」、セクション2.10.1「Unix 類似システムでのインストール後の手順」、およびセクション4.4.3「mysql_install_db— MySQL データディレクトリの初期化」を参照してください。このプログラムは MySQL Server プラグインを構成します。セクション4.4.4「mysql_plugin— MySQL サーバープラグインの構成」を参照してください。
このプログラムにより、MySQL インストールのセキュリティーを改善できます。SQL。セクション4.4.5「mysql_secure_installation— MySQL インストールのセキュリティー改善」を参照してください。
このプログラムは、ホストシステムのzoneinfoデータベース (タイムゾーンを記述しているファイルセット) の内容を使用して、タイムゾーンテーブルを
mysql
データベースにロードします。SQL。セクション4.4.6「mysql_tzinfo_to_sql— タイムゾーンテーブルのロード」を参照してください。このプログラムは MySQL のアップグレード操作のあとで使用されます。テーブルの非互換性をチェックして必要に応じて修復し、新しいバージョンの MySQL で行われた変更に合わせて付与テーブルを更新します。セクション4.4.7「mysql_upgrade— MySQL テーブルのチェックとアップグレード」を参照してください。
MySQL サーバーに接続するクライアントプログラム。
インタラクティブに SQL ステートメントを書き込む、またはバッチモードでファイルを使用してステートメントを実行するためのコマンド行ツールです。セクション4.5.1「mysql— MySQL コマンド行ツール」を参照してください。
データベースの作成と削除、付与テーブルのリロード、テーブルのディスクへのフラッシュ、およびログファイルの再オープン等、管理操作を実行するクライアント。mysqladminは、サーバーからバージョン、プロセス、およびステータス情報を取得するためにも使用できます。セクション4.5.2「mysqladmin— MySQL サーバーの管理を行うクライアント」を参照してください。
テーブルのチェック、修復、分析、および最適化を行うテーブルメンテナンスのクライアント。セクション4.5.3「mysqlcheck— テーブル保守プログラム」を参照してください。
MySQL データベースを SQL、テキスト、または XML としてファイルにダンプするクライアント。セクション4.5.4「mysqldump— データベースバックアッププログラム」を参照してください。
LOAD DATA INFILE
を使用して、テキストファイルを対応するテーブルにインポートするクライアント。セクション4.5.5「mysqlimport— データインポートプログラム」を参照してください。データベース、テーブル、カラム、およびインデックスの情報を表示するクライアント。セクション4.5.6「mysqlshow— データベース、テーブル、およびカラム情報の表示」を参照してください。
MySQL Server のクライアント負荷をエミュレートし、各ステージのタイミングをレポートするクライアント。複数のクライアントがサーバーにアクセスしているかのように作動します。セクション4.5.7「mysqlslap— 負荷エミュレーションクライアント」を参照してください。
MySQL 管理プログラムおよびユーティリティープログラム:
オフライン
InnoDB
オフラインファイルのチェックサムユーティリティー。セクション4.6.1「innochecksum— オフライン InnoDB ファイルチェックサムユーティリティー」を参照してください。MyISAM
テーブル内の全文インデックスの情報を表示するユーティリティー。セクション4.6.2「myisam_ftdump— 全文インデックス情報の表示」を参照してください。MyISAM
テーブルの記述、チェック、最適化、および修復を行うユーティリティー。セクション4.6.3「myisamchk— MyISAM テーブルメンテナンスユーティリティー」を参照してください。MyISAM
ログファイルの内容を処理するユーティリティー。セクション4.6.4「myisamlog— MyISAM ログファイルの内容の表示」を参照してください。MyISAM
テーブルを圧縮してより小さい読み取り専用のテーブルを生成するユーティリティー。セクション4.6.5「myisampack— 圧縮された読み取り専用の MyISAM テーブルの生成」を参照してください。.mylogin.cnf
という名前のセキュアで暗号化されたログインファイルに認証情報を格納できるようにするユーティリティー。セクション4.6.6「mysql_config_editor— MySQL 構成ユーティリティー」を参照してください。ホスト名、ユーザー名、およびデータベースの組み合わせに対してアクセス権限をチェックするスクリプト。セクション4.6.7「mysqlaccess— アクセス権限をチェックするクライアント」を参照してください。
バイナリログからステートメントを読み取るためのユーティリティー。クラッシュ状態からリカバリするために、バイナリログファイルに含まれる実行ステートメントのログを使用することができます。セクション4.6.8「mysqlbinlog— バイナリログファイルを処理するためのユーティリティー」を参照してください。
スロークエリーログの内容を読み取って要約するユーティリティー。セクション4.6.9「mysqldumpslow— スロークエリーログファイルの要約」を参照してください。
サーバーの稼働中に
MyISAM
テーブルのバックアップを迅速に作成するユーティリティー。セクション4.6.10「mysqlhotcopy— データベースバックアッププログラム」を参照してください。データベース内のテーブルを、所定のストレージエンジンを使用するように変換するユーティリティー。セクション4.6.11「mysql_convert_table_format— 指定されたストレージエンジンを使用するためのテーブルの変換」を参照してください。
SQL ステートメント (更新ログなど) を含むファイルを読み取り、所定の正規表現に一致するステートメントを抽出するユーティリティー。セクション4.6.12「mysql_find_rows— ファイルからの SQL ステートメントの抽出」を参照してください。
MyISAM
テーブルファイルの拡張子を小文字に変換するユーティリティー。これは、ファイル名の大文字と小文字を区別しないシステムから、ファイル名の大文字と小文字を区別するシステムにファイルを転送したあとで便利です。セクション4.6.13「mysql_fix_extensions— テーブルファイル名の拡張子の正規化」を参照してください。MySQL 付与テーブルにインタラクティブに許可を設定するためのユーティリティー。セクション4.6.14「mysql_setpermission— 付与テーブルに許可をインタラクティブに設定」を参照してください。
指定されたプロセスIDのプロセスを強制終了させるユーティリティー。セクション4.6.15「mysql_waitpid— プロセスを強制終了して終了を待機」を参照してください。
パターンと一致するプロセスを強制終了させるユーティリティー。セクション4.6.16「mysql_zap— パターンに一致するプロセスを強制終了」を参照してください。
MySQL プログラム開発ユーティリティー:
msql2mysql
mSQL
プログラムを MySQL に変換するシェルスクリプト。これはすべてのケースを扱うわけではありませんが、変換するときのスタートとしては便利です。セクション4.7.1”msql2mysql— mSQL プログラムを MySQL で使用するために変換」を参照してください。mysql_config
MySQL プログラムをコンパイルするときに必要なオプション値を生成するシェルスクリプト。セクション4.7.2「mysql_config— クライアントのコンパイル用オプションの表示」を参照してください。
オプションファイルのオプショングループにどのオプションがあるかを表示するユーティリティー。セクション4.7.3「my_print_defaults— オプションファイルからのオプションの表示」を参照してください。
数値スタックトレースダンプをシンボルに解決するユーティリティープログラム。セクション4.7.4「resolve_stack_dump— 数値スタックトレースダンプをシンボルに解決」を参照してください。
その他のユーティリティー:
システムあるいは MySQL エラーコードの意味を表示するユーティリティー。セクション4.8.1「perror— エラーコードの説明」を参照してください。
入力テキストで文字列を置換するユーティリティープログラム。セクション4.8.2「replace— 文字列置換ユーティリティー」を参照してください。
ホスト名を IP アドレスに、または IP アドレスをホスト名に解決するユーティリティープログラム。セクション4.8.3「resolveip— ホスト名と IP アドレスの解決」を参照してください。
Oracle Corporation は、MySQL WorkbenchGUI も提供します。これは、MySQL サーバーおよびデータベースの管理、クエリーの作成、実行、評価、およびほかのリレーショナルデータベース管理システムからのスキーマおよびデータを MySQL で使用するための移行を行うために使用されます。その他の GUI ツールには、MySQL NotifierおよびMySQL for Excelなどがあります。
MySQL クライアント/サーバーライブラリを使用してサーバーと通信する MySQL クライアントプログラムは、次の環境変数を使用します。
環境変数 | 意味 |
---|---|
MYSQL_UNIX_PORT |
localhost への接続に使用される、デフォルト Unix ソケットファイル |
MYSQL_TCP_PORT |
TCP/IP 接続に使用されるデフォルトのポート番号 |
MYSQL_PWD |
デフォルトパスワード |
MYSQL_DEBUG |
デバッグ中のデバッグトレースオプション |
TMPDIR |
一時テーブルや一時ファイルが作成されるディレクトリ |
MySQL プログラムが使用する環境変数の全リストについては、セクション2.12「環境変数」を参照してください。
MYSQL_PWD
の使用はセキュアではありません。セクション6.1.2.1「パスワードセキュリティーのためのエンドユーザーガイドライン」を参照してください。